「田島くんは将来なんになりたいの?」
「まぁ、なにとかは決まってないですけど、金持ちになりたいっすね」
「金持ちになってなにがしたいの?」
「いやぁ、別に金持ちになって何がしたいってわけでもないですけど
とりあえず金さえあれば、人生なんとかなるじゃないですか」
「・・・きみは、金持ちになるっていうことの意味がまったくわかってないようだね」
「え?どういうことなんですか?」
「金持ちになるっていうのはね
悪魔に魂を売る!っていうことなんだよ!
その覚悟もなく金持ちになりたいだなんて、かたはらいたいっつーの!」
「いや・・・別に金持ちになるってそういうことじゃないんじゃ・・・」
「じゃあね、俺がきみが本当に金持ちになる覚悟があるかどうか、試してやるよ、えぇ!?
田島くんは、いくらもらったらおっさんのケツの穴、舐める?」
「いや、おっさんのケツは・・なめないっすね」
「いや、ダメだよ、舐めなきゃ!舐めなきゃ金持ちになんてなれないんだよ!
金持ちは皆舐めてきたんだから、いろんな意味で、おっさんのケツを。
いくらだったら舐めるの?」
「じゃあ・・・500万?」
「
高っ!そりゃ田島くんはそれでいいかもしんないけどさ
この世は資本主義だからね、田島くんより安い料金でこの仕事を請け負うってヤツがでてきたら
このケツ舐め作業は田島くんは請け負えないわけだよ、わかる?
たとえば前川くんだったら300万でやると言うと思うのね、おっさんのケツくらいペロペロいっちゃいますよー言うて
そうなると、資本主義の理論として田島くんは一円もゲットできないってわけよ
わかる?金持ちになるならこれは最低限わからないといけない理論だよ」
「は、はぁ・・まぁわかりますけど」
「で、だ!さらにここからが重要なんだけど500万はおろか300万もだす、ていうおっさんは
そうそういないと思うのよね、普通に考えてね
いくらケツ舐められるのが好きなおっさんでも、500万とか300万とか
年収じゃん、ていう値段だからね、そりゃねーよ、と。
まぁきみらみたいな年がら年中スノボと合コンのことしか考えてない大学生には
そのへんの感覚はピンとこないかもしれんけどさ
そんな不景気のど真ん中のおっさんと、料金感覚のおかしい大学生とじゃあ
普通は値段の折り合いがつかなくて、この取引は成立しないんだけど
ここに大手資本が参入してくるわけよ。
そして、一分一万円でケツを舐めてもらえますよ、ていうシステムを作るわけ
お客としてはさ、いままで高くてとても手が届かなかったケツ舐めが
普通に10万円くらいで楽しめるようになるわけだからさ
そりゃあ飛びつくよね
で、田島くんたち従業員に対してなんだけど
こんなに価格破壊されたらさ、いままで500万でやってた仕事が台無しじゃねぇか、ってやってられなくなりそうなもんなんだけど
大手資本はここでも資本力を使ってすごいシステムを作ってさ
おっさんが60人いて、皆こっちにケツを向けたままベルトコンベアーにのってやってくるのね
それを田島くんは一人一分ずつ舐めていくわけよ
そしたら一時間で60万、一日八時間働けば480万だよ
田島くんが望んでた500万も一日でだいたい手に入るって寸法よ!
どう?これを一年もやればさ、一生遊んで暮らせるくらいの金が手に入るよ
しかも大手資本の価格破壊によって、それまで個人商店単位でやってたケツ舐め業(500万)とかは
ケツがこなくて、じゃなかった客が来なくてつぶれざるをえないからね。
選ぶ権利がなくなって、結局は大手資本に飲み込まれざるを得ないわけよ
どう?やる?ケツ舐め一年間?」
「いやぁ・・・もう、なんか、最初の二人ぐらいで吐きそうなんですけど」
「いやいや、なれちゃえばどうってことないって、そんなもん
ていうかさ、さっきから普通に500万とか言ってっけど
風俗嬢なんてもっと汚いおっさんと汚いことをして
それでも一日500万ももらってる人なんていないからね、ホント
大学生がさ、チャラチャラ気分で金持ちになりたいとか言ってっけど
世の中っつーのはそんな甘いもんじゃねーんだぞ、コラァ!
ベルトコンベアーに乗せられて回ってくるケツを一年間舐め続けるくらいの覚悟で生きていかんかァアアいっ!!
スノボばっかが人生じゃねーんだぞ、ダボがぁ!!」
「・・・はい、べんきょうになりました
あの・・・お金だけが、人生じゃないと思いました」
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