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カズヒロ・ライジング

これはまだカズヒロが語尾に「~でやんす」をつける前の話


当時、中学三年生だったカズヒロの学年には

番長がいて

その番長の悪さは次第に 女子への性的な何かにかわっていった


こまった女子は なぜかカズヒロに番長を倒してくれるように依頼


カズヒロ「・・・じゃあもし、おいらがヤツを倒したら

その見返りにはいったいなにが?」

困っている女子代表「そのときには、あなたを

一日学園アイドルに、してあげるわ」


その後、カズヒロはさまざまな手を使い

ついに番長を激破!!(このへんの詳細につきましては

ハラキリロマンをごらんのストーリーテラーの皆さんが

うまいことお話を作ってトラックバックしてくれるであろうことを

期待してますw)

話はその翌日から始まる


「おっ、カズヒロ、おはよう

どうだ?昨日番長にやられたケツは?」


「もう真っ二つだよ、穴が貫通して口まで届きそうなくらいさ」


その日本古来より伝わるトラディショナルなお尻ジョークをかましながら

片手でおしりをおさえると

タクマはキャッキャキャッキャ手をたたいて喜んだ


その笑顔を見て

「やっぱりこいつは不細工だな~」との思いが湧き上がるのを

もう誰にもとめられない、とおいらのなかの美意識が叫んだ


笑顔が素敵じゃないなんて、こんなに悲しいことはない


そしてタクマは今日ももれなく鼻毛がでていた

毎日鼻毛を出し続ける生き方っていうのは どんなものなんだろう


こういうときに、注意してあげるのが本当の友達なのかな

とも思う

でも、タクマはおいらと同じくらいナイーブハートの持ち主だ

きっと「鼻毛でてるよ」なんて言ったら

ものすごく傷つき、そして逆恨みするだろう

まるでおいらが鼻毛をひっぱりだした、ぐらいの勢いで

タクマはおいらを逆恨みするだろう

「なんでもっとはやく教えてくれないんだ!見損なったぜ」

くらいのことは言われるかもしれない


「おしりが真っ二つて!!ハハハ、ツボった!」

といいながら笑い続けるタクマのゆがんだ笑顔を見て

やっぱり類は友を呼ぶっていうか、おいらもこいつと同類だって

他の人からは見られてるんだろうなー

と思いながら靴を脱ぎ、下駄箱をあける


バサバサッ


あけた下駄箱から落ちてきた大量のラブレターを見て

おいらは一瞬「しまった!学園のアイドルヒロシさんの下駄箱を

間違えてあけてしまったのかぁ!!」と思ったけども

しかし、そこは確かにおいらの下駄箱だった


「おいおい、なんだこれ・・・もしかしてラブレターかっ!?

えっ、なに?番長をやっつけたから、カズヒロ、もしかして

も、モテモテになっちゃったの!?

なんだよー、そんなになれるんだったら、俺も番長と戦えば」


と嘆く親友タクマからラブレター一式を奪い取ると

おいらは大急ぎでトイレに駆け込んだ

その様子を見たクラスの男子から

「猛ダッシュうんこマン一号二号」という不名誉なあだ名をつけられることになったとしても

いますぐこの青春を味わってみたい気持ちを抑えられなかった


はっ、ハートのシールで封がしてあるっ


おいらがいままでにもらったことのある手紙は全て

うんこ型のシールで封がしてあるもの(なかにはタクマの書いたつまらないギャグ漫画が入っていた)や

アニメのキャラの顔で封がしてあるもの

そして、タクマがおじいさんから教わったという

米粒をノリがわりにするという手法で

封がしてあるものばかりだった


おいらは、その素敵なハートを

慎重に慎重に、そっとそぉっと

警視庁の爆弾解体班も真っ青の慎重さで

全く手紙に傷をつけることなく

シールをはがしとり、手紙の封をきることに成功した



バカの壁

ラブレター(?)をもらった


文面:「今日の放課後、16時半に体育館裏に来い」


これをラブレターと呼んでいいのか

ラブレターというものをいままでもらったことがない私にはわからないけども

ただ、生意気な後輩をシメようという先輩からの呼び出しでないことは

差出人の名前と、封にはられたハート型のシールでわかった



いや、でも、それも偽装工作なのかも・・・とも思ったけども

だったら差出人の名前をもっと食いつきのいい男の子にするはず・・・


このラブレター(怪文書?)の差出人は あのやんす(通称キモカズ)だった


「カズヒロでやんす!!」と教室の隅でへんなポーズをきめ

ちょーハイテンションだったかと思うと

次見た瞬間にはなぜかがっくり落ち込んでいるキモカズの姿を

私は思い浮かべる


このラブレターはさまざまな可能性を私に想像させる


「えっ、あの教室の隅で、ツルに見立てた手刀で

あちょちょちょちょ!っていいながら

壁を突き刺しているのが のりちゃんの彼氏なのっ!?」


と驚く親友いずみの顔・・・

「いや、まぁ・・・」としか答えようのない私


キモカズの本名はカズヒロといい、うちのクラスを代表する

個性派だった

彼は自分のことを「おいら」と呼び

語尾には必ず「~でやんす」をつけた


それらは、どちらも普通に生活していて

自然についていく風習ではない



私は、彼が「今日から俺は、自分のことをおいらと呼び

語尾には必ず~でやんすってつけるんだ!」と決意した朝のこと想像する

それは晴れ渡ったone morning

きらびやかに光差すような誕生日


今日から俺は、いやおいらは

うまれかわったんだ、いや、うまれかわったんでやんすっ!!


そう決意した瞬間のキリリとしたであろう彼の表情を想像し

私は



とてもじゃないが愛せないな、と確信する



それでもきちんと体育館裏へ向かう自分を見て

こういうところが私の弱さなのかな

と思う

シカトするほうがラクだけど ちゃんと断らなくちゃ失礼だって

そう教えてくれる漫画を読んで 育ったから


体育館裏へ続く道の途中から その声は聞こえてきていた


「脱げ!!オラ、いますぐ全部脱げ!!」


私は、その謎の奇声に驚きながらも

体育館裏に到着する


奇声の主はカズヒロだった


「ほら、はやく脱ぐでやんす!!

おいらの言うことが聞けないんでやんすかっ!!」



壁を・・・脱がそうとしている・・



私は、その衝撃の光景に立ちすくみ

そっとあとずさりをする

すると、お決まりどおりに私の足元には枯れた木の枝があり

パキッ、と気持ちのいい音をたててカズヒロを振り向かせる



「おぉっと、やっと本物が来たでやんすね!!

さぁ、クメさん、いますぐここで脱ぐでやんす!!」


やばい、


カズヒロは



私を




壁だと思ってるんだわっ!!



この誤解を解かないと大変なことになってしまう


「違うわ、カズヒロさん

あなたの相手は私じゃないはずっ!!」


「なにを言ってるんでやんすかっ!

しらをきっても無駄でやんすよっ!!

おいらはおまえの秘密を知ってるんでやんすよっ!!」


壁の・・・秘密?

カズヒロが言った言葉に 私の好奇心がうずく



「秘密って・・・?」


「おまえがド変態女だってこと

おいらは全部知ってるんでやんすよっ!」


壁としゃべる能力を目の当たりにしたあたりから

もしかしたらそうかな、とは思っていたけれども

ひょっとして、カズヒロは

大宇宙ドコモの電波を

受信しちゃってる人なのかもしれない



「そ、それは・・・おおいなる声が

あなたの耳に告げた言葉なの?」


「だから、シラをきるなって言ってるんでやんす!!

クメさん、おいらは見たんでやんすよっ!

クメさんが、おしりの穴にキュウリをつっこんで

よろこんでいるところまでねっ!」


電波を受信しているどころじゃない


この人・・・



バリ3だわっ!!



私があまりの恐怖に絶句していると

カズヒロはバックから 謎のDVDを取り出してきた


「ほら、これを見ても、まだシラをきるつもりでやんすかっ!?」


そのDVDのパッケージには私そっくりの女の人が

裸になっている写真がはられていた


アイコラ・・・私はぞっとする

いつのまにか、私の顔写真が盗み撮りされていて

それを、こんなふうにパソコンで合成しているなんて・・・


「ほら、これをおいらは見たんでやんすよっ!

どうでやんすかっ!?おいらの言うとおりにしないと

これを、学校中にばらまくでやんすよっ!

おいらは知ってるんでやんす!クメさんが

そんなまじめそうな顔をしていながら

ド変態だっていうことをねっ!」


このアイコラを・・・学校中にばら撒く・・・

私は恐怖で立ちすくんだ


しかし、カズヒロがバックからキュウリをとりだし


「さぁ、これをいますぐケツの穴にさしこ」


と言い出した瞬間、大急ぎでかけだした


なきながらいずみに相談すると

いずみは職員室へいってくれた


そしてカズヒロは停学になったけども

私には、それ以来ずっと

男子の奇異の目がそそがれ続けている




現実リンク

おいらくらいのAVレンタルヘビーユーザーになると

ただ女の子が脱いでエッチしてるだけでは

物足りなくなってくるんでやんす


そんなAV倦怠期に

おいらが発明したのが

現実とAVをリンクさせるという魔法


うちのクラスのカワイイ女子に

似てる(ちょっとでも似ていれば

あとは脳内で補完できるから十分なのでやんす)女優を探し

「あぁっ、佐々木さんっ!

あっ、あの佐々木さんが、そっ、そんな

あっ、ああっ、佐々木さんっ!」


と言いながらする一人エッチは

すごい興奮!

どくどくが止まらない!!


そして、そんなエッチをした次の日に

クラスで普通に佐々木さんを見たときの

あの、なんかちょっとテレる感じも

いい☆


エッチしたあとで、職場で普通に逢ったりする恋人同士も

こんな気持ちなのかな?って連想して

なんだか佐々木さんと秘密を共有しているような

甘い気持ちになれるのでやんす

学校で佐々木さんの姿を目に焼き付けて

持って帰ってのランデブー♪

次は、あの佐々木さん女優の女子校生モノがないか

違うビデオ屋にいって探してみよう


そんな気持ちで訪れた西口のビデオ屋で

おいらは驚くべきビデオを発見した


「えっ!?クメさんっ?」


そのビデオはいままでの

脳内で補完してなんとか佐々木さん

といったレベルではなかった

補完の必要まるでなく

完全にクメさんそのものだった


おいらは急いで父親をだまし

そのレンタルビデオ屋の会員証を作らせると

大急ぎでそのビデオを借りて帰った


似てる、見れば見るほどよく似てる

普段ははや送りしまくりの

女優がしゃべっているだけのシーンも

じっくりと見た


声も、似ている


なんだか、おいらはすごくドキドキしてきた

その女優は音楽が好きで

カラオケによく行く、としゃべっている

確か、クメさんの将来の夢は歌手になることではなかったか?

その練習のために、友達とよくカラオケに行くという話を

おいらのデビルイヤー(地獄耳)が聞いた気がする


そして、そこで微笑んだその女優の笑顔を見て

おいらは確信した


これは・・クメさん本人でやんす


だって、声も趣味も同じで

さらにあの笑顔まで・・


おいらの頭のなかで、全ての謎がとけていく

原宿を歩いているクメさん

「歌手にならない?」と声をかけられるクメさん

連れていかれた事務所

悪魔のビデオカメラがクメさんに襲いかかる

抵抗するクメさん、しかし男の力にはかなわず

無理矢理ビデオをまわされるクメさん

「いや、やめてっ!」

最初は抵抗していたクメさんだったが

身体は意思と反して・・

「あれ?いやがってるわりには

アソコはもう、ほら・・

欲しいんだろ?え?

正直に言ってごらん?」


「欲しい・・です」


「なにが欲しいんだい?」


「あ、あなたのおちんちんが・・・恥ずかしい」


あぁっ、クメさんっ!そんな、そんなこと言っちゃダメだよ、そっ、そんなっ、いやらしい、いやらしいよクメさんっ!あぁっ、あっあっ、クメさん!!クメさんっ


おいらはビデオのなかのクメさんを見つめる・・・

クメさんにこんな過去があったなんて

知っているのは、今、おいらだけ・・

クメさんはこの秘密をバラされないためなら

なんでもする


おいらの頭のなかに、いつか見たAVのストーリーがよみがえる

今果てたばかりなのに、不死鳥のように再起するジョニー

おいらは、画面のなかのクメさんを見つめる


この人が・・・おいらの初めての人に・・

それどころか、おいらの

専属奴隷にだってできるんでやんす

おいらはクメさんの

すごい秘密をにぎっているんでやんすからなっ!



次の日、学校に行ったカズヒロは、クメさんを呼び出すとAV疑惑を持ちかけた。
ものすごい勢いで走り去るクメさん。
まず、友達に相談す。クメさんフレンズは先生に相談するよううながす。
職員会議の結果、学校はじまって以来のハレンチな理由で停学になるカズヒロ。
先生達の隠蔽工作もむなしく、学校中に広がるクメさんAV伝説。
カズヒロは学校中の男子からひそかに感謝されたが、同時に学校中の女子からキモがられた。
カズヒロはもちろん、クメさんも、この事件の影響でか恋人ができないまま高校を卒業し、知人がいないという理由で東京の大学に進学し、ジェンダー問題を扱うブログを書き始める。
また、同じ時期にカズヒロも無修正AVへのリンクをはったブログを書き出すのだが、それはまた別のお話




theme : 思ったこと・感じたこと
genre : 日記

なし the boom

おいらはアイツが大嫌いだった

顔はいいし、頭はキレるし

十二頭身のスタイル(父親はインチキ会社社長)


「よぉ、カズヒロ、最近調子どう?」


きやがった、ヒロシのヤローだ

なれなれしく話しかけてきやがって!

ちくしょう、あいかわらずカッコイイ顔しやがって!

気に食わないぜェエエエ!!


「どうしたカズヒロ、あいかわらずしけたツラしてんなーおい」


きぃいいいっ!人が一番気にしていることを

さらりと言いやがって!

今年は梅がまだ咲きませんなぁ、くらいの感じでいいやがって!

おいらだって好きでこんな顔に産まれたわけじゃないやい!

おいらだってなぁ、おまえみたいな顔に産まれて

女の子にきゃーきゃー言われたかったさ

全く気に食わないヤローだぜ!


「カズヒロはさ、合コンとか好き?」

「ま、まぁまぁかな」

「今度合コンやるんだけど、もしよかったら来ない?」

「あっ、ああ、まぁ、スケジュールがあいてればいいけど」


なんだよ、おいおい、ヒロシちゃん

実はいいやつなのかな?

いままで一方的に決めつけ過ぎてたかもしれないな、うん

「カズはどういうタイプの娘が好きなの?」


おいおい、カズて!いままで呼ばれたことねーし!

それがいきなりカズよばわりて!

なんだよ、ちょー踏み込んできてんじゃん!

しかも、カズて呼ばれてあんまヤじゃねー自分にびっくり!

すげー、これが爽やかボーイの社交術なのかっ!


しかし、おいらの好きなタイプは

あまりにマニアック過ぎるので

まずは相手のでかたを見るほうがいいだろうな、うん

常に相手のでかたをうかがいながら

そう簡単にガードの手は緩めない

それがおいらの生きざまっ!

質問には質問で返すぜ


「好きなタイプねぇ・・・ヒロはどんなタイプが好きなの?」


よぉし、言ってやった

さりげなく、爽やかに、美しくヒロって呼んでやったぜぇ!

おいらにもできた爽やかコーリング!


「え、俺?俺けっこうブス専なんだよね」


おぉっ!てことは

こいつはこんなにカッコイイのに

ブスとしか付き合ったことがないってのかっ!?

おいらのなかに、ヒロシへの好意がむくむく入道雲のようにわきあがるのを感じた


いやいや、でもだまされちゃあダメだぜ

まだ肝心なことを確かめてないじゃないかっ!


「じゃ、じゃあさ、ひっ、ヒロは

ブスとばっかりエッチしてるってことなの?」


「あぁ、まぁな

なんかさ、ブスのほうが

エッチしてて興奮するんだよな」


やった!こいつは男前なのに

実はすごくいいヤツなのかもしれん

そうだよ、だってこんなにカッコイイのに

ブスとばっかりエッチしてるなんてっ!

これはもう、友達になってあげたほうがいいかもな


「おまえいいやつだな、おいらが友達になってあげるよ」


「マジでか、嬉しいな

俺あんま友達いねーからさ

あ、ちょうどよかった

いまから俺の彼女来るからさ

紹介するよ、友達としてさ」


来るぞ!来るぞ来るぞ!とんでもないブスが来て

か~っ!こいつはこのピグモンとばっかエッチしてるのかっつって

おいらの心をいやしてくれるんだ


そう

わくわくして待っていたおいらの心を

ぐわっしゃんぐわっしゃん打ち砕くような美人があらわれたのが

この五分後

「紹介するよ、俺の彼女のかなちゃん」



完全犯罪でヤツを殺して

この娘を奪い取ろうと思ったのは

そのさらに五分後のこと


「あ、こいつ、俺の友達のカズ」

「おまえなんかもう友達じゃねーし」


と、ちょーちっちゃい声でつぶやいて

おいらはしきりと時計を気にするパフォーマンスをはじめた

もう帰る時間がせまってるんですよアピールだ

この遠まわしな感じ、日本人的なわびさびとか

オイラと友達になりたいんなら、ちょー重要でゲスよ、ヒロチャンヨォオオオオ!!


こんなにカワイイ彼女がいるのに

ヤツはさらに合コンにまで行くのか

と気付き

家に帰ってからあらためてムカついた

theme : ぅわは―――――ッい!!!ヽ(`∀´)ノ
genre : 日記

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