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サンタは俺が殺した

俺が殺したのさ、俺が殺したのさ

サンタクロースは俺が殺したのさ



アテナはその名のとおり、女神のような女の子だ

清らかで 純真で 20歳になったいまでも

サンタクロースはいるって信じている

こんなかわいいのに心もきれいな女の子が

俺の彼女だなんて。。。

俺の友達は皆おどろくし、俺は自分でもときどき

これは夢なんじゃないか、って思うくらいだ



「サンタクロースなんかいないんだぜぇ!

うそだと思うなら今夜、寝たふりして

ふとんのなかで目をあけておいてみろよぉ!」

こういって、サンタを信じていたあのころの僕をバカにしたのは

小学生にして時代の空気をまともにあびて

ひねくれまくっていた岡部だった

そのまますくすく成長し、岡部はいま

2ちゃんねらー兼自宅警備員として

web2.0をがんばっている



今日はアテナのために イスとB’zのCDを買った

アテナはお金持ちの家の子だし

なにがほしいのか思いつかなかったっていうのが本音だが

まぁまぁ、オシャレなアイディアかな、って自分では思っているんだけど。。。

まぁ、でも、俺にはわかっているんだ。。。

なにをあげても、アテナはよろこんでくれるって。。。



あの日、僕は岡部に言われたとおりに

ふとんに入って目をつぶっていた

すると、枕元に近寄ってくる足音。。。

サ、サンタさんだ!

僕の胸は高鳴った

サ、サンタさんを僕のこの目で見れるなんて。。。

ちょうどサンタさんが僕の枕元にやってきた、そのとき

僕はふとんをはねあげて、サンタさんの腕をつかんだ!



俺には、どうしても信じられないんだ。。。

女の子が、、、いや、というよりもアテナが

こんな女神のような女の子が

うんこをするなんて。。。

うそだ、うそだと思いたい。。。

でも、そんな俺に岡部は言うんだ

「女っていうのはよぉ、おまえが寝ているそのすきに

こっそりとトイレにいってブリブリやるんだぜ!

うそだと思うならよぉ、寝たふりをして

女がトイレにはいって、時間がたってもでてこないときに

お手持ちの10円玉を使ってよぉ

トイレのカギを突然がちゃって開けて

見てやればいいんだよぉ!

女っていうのが、どんなに汚い生き物かっていうのをよぉ、ひゃっはー」



俺は、どうしても、どうしても信じられないんだ。。。

アテナが、あんなかわいくて清純な女の子が

うんこをするなんて。。。


そして、今、なかなかトイレからでてこない

アテナがはいったトイレの前で

十円玉をにぎりしめている俺がいる。。。


トイレの外カギに十円玉をあてたとき

なぜか、あの日、サンタクロースの帽子をかぶって

切ない表情で僕にほほえんだ

お父さんの顔が脳裏に浮かんだ




theme : 日記
genre : 日記

加藤なみこ その3

「また今日もあのわきげボーボーにさんざん言われちまったなぁ、おい」

「そっすね。。。今日のはちょっと。。。へこみましたよね」

「ったくよ、わきげがボーボーなくせしやがってよ!」

「。。。(この人は、自分が勝手に風説を流布して

加藤奈美子はわきげがボーボー、ていうことにしたくせに

そのうそを自分にもついて、もう完全に

加藤奈美子は本当にわきげがボーボーだ、みたいな体で考えてるからな

こういう人って、タチが悪いよな)」

「おい、またなんか新たな奈美子伝説作ろうぜ

わきげがボーボーていうくらいじゃさ

あの女のみやがり具合には足りないって」

「マジっすか、またですか

今度はどういうやつにするんですか?」

「そうだなぁ。。。あ、こういうのはどうだ

加藤奈美子は濡れれば濡れるほど強くなる!!」

「なっ!?」

「奈美子は昔、中国人の彼氏とつきあってて

そのときに中国人の彼氏からその秘奥義教わったんだ

もちろん、ベッドでな!

それ以来、加藤奈美子は濡れれば濡れるほど強くなる陰拳を使えるようになり

首相の靖国神社参拝に異議を唱えるようになったそうだよ」

「いやぁ。。。それはさすがにちょっと無理があるんじゃ。。。」

「(まったくきかず)でな!その前の彼氏は韓国人だったんだと!その影響で

竹島のことを独島って呼ぶし

日本の焼き肉文化に対して否定的なんだとよ!

三河島と新大久保以外の焼き肉ショップは、たとえ牛角であっても

焼き肉だとは認めないんだとよ、奈美子はよ!」

「。。。(ほら、もう完全に自分がこの話を作っているっていうよりは

「こういう話をこないだきいたんだけどさ!」みたいな感じになってるもんなぁ

こわいわ~、ホント)」

「だから奈美子はわきの下が臭いんだよ!

本場モノのキムチばっかり食べてるからな!

キムチにふくまれるカプサイシンが食欲を増進し

乳酸菌が便秘知らずなおなかを作り上げ

さらにキムチと一緒にいためたブタ肉のビタミンBが

身体の疲れをいやすんだとよ!

完璧な夕食じゃねぇか、ちくしょうめっ!」

「。。。(そして自分が作った妄想の世界でさえ

完璧な奈美子像を作り上げてしまい

なぜか、傷ついちゃうんだよな。。。)」

「。。。じゃあこういうのはどうだ?

加藤奈美子は長かったホームレス生活の影響で

段ボールのことを「物件」と呼んでしまい

いまだにいい物件を見ると、足をとめてしまうと

もっぱらの評判なんだと!!

こないだな、部長が奈美子と外を歩いていたときの話さ

奈美子が上野公園にしいてあった段ボールがあまりに見事な物件だったため

その段ボールの所有権をめぐってホームレスと本気の喧嘩をはじめたそうだ!

それを止めに入った部長がホームレスにひっかかれて

その傷口からばい菌が入って

黄熱病になってね、部長、死んだんだって!!」

「。。。(今朝、部長ピンピンして朝礼してたじゃねぇか)」



theme : 日記
genre : 日記

加藤なみこ その2

「加藤奈美子さんですか?」


会社をでたとたん、初老の男性に話しかけられた

見るからに金を持ってそうな紳士だったので、少し考えたのち


「そうですが、なにか?」


と答える。

加藤奈美子は、うちの営業マンで、わきげがボーボー女だ

そして、私たち派遣社員を完全に下に見ている

加藤奈美子がわきげがボーボーなのも、実は

ヨーロッパ人の彼氏がいるからで、

わきげがボーボーじゃない私たちのことを

「農耕民族の末裔」と影で呼んで、バカにしている、

という噂だった


この、金の匂いのする男、、、あやしい、怪しすぎる

もしかしたら、ここから、なにか加藤奈美子の秘密が聞き出せるかもしれない

私は加藤奈美子になりきる決心をした


「いやぁ、うわさどおり、お美しいかただ

いや、これは失礼。わたしはこういうものです」


そう言って初老の男が渡してきた名刺には


「ボーボークラブ ヘアリー 総支配人 田島ワタル」と書かれていた


「世の中にはね、実にさまざまな嗜好の人がいるわけですよ

カレーが好きな人がいれば、お寿司が好きな人もいる、というようにね

それと同じで、女性の好みについてもずいぶん自由化が進んできた

やせた女の子が好きな人がいれば、太った女の子が好きな人もいる

というようにね

でもね、私は好みっていうのはそれでいいと思っているんですよ

皆が同じタイプの女性を好きになり、同じような顔を美しいと思ってしまうのは

あんなもん、すべてテレビやマスコミにあやつられているだけですからね

人間の好みっていうのは本来、そういうものなんです」


初老の男は、落ち着いた声でゆっくりと

まるで独り言をつぶやいているように、私にそう語りかけた


「だからね、私はそういう、人間本来持っていた美しさへの回帰というものがね

実に必要だな、とこう思うわけなんですよ

そこでね、私はその活動の一環として、作ったわけなんですよ

ぼーぼーキャバクラ」


「ぼーぼーキャバクラ?」と私は思ったけども

口にだしては尋ねなかった

しかし、そんな私の表情を読みとって、男は説明しだした


「いまね、世の中では、マスコミの情報操作によって

女性のわきげはないほうがいいものだ っていうふうにね

そういうことになっていますけれども

確実にね、女性のわきげが好きな男性、っていうのもいるわけですよ

女性のわきから毛がはえてるなんて、なんて興奮するんだろう

そう感じること、これは自然なことなんですよ

本来、動物っていうのは、わきの下からもっとも大量にフェロモンをだし

それをわきげにたくわえる生き物なわけですからね

わきげっていうのはね、古来からセクシーさの象徴であり続けたわけです」


そうか、そうだったんだ。。。だから加藤奈美子は

それを知っていてわきげをはやしてセクシーになっているんだ

もしかしたら、加藤奈美子がこないだの連休

わきげ修行のためにドイツにいってきた、といううわさは

ただのうわさじゃないのかも。。。


わきげにたくわえたフェロモンをまきちらし

外国人をたぶらかしているのね。。。

それにひきかえ私は。。。


私は、セクシーという言葉をきくたびに、胸が痛む

このぺったんこの胸が、私からセクシーという言葉を遠ざけているのだ


「まぁ、そんな原始にまでさかのぼらなくてもですね

たとえば、そう遠くない日本でも、わきげっていうのはセクシーの象徴だったわけです

昭和のポルノ界などでは、女性の陰毛をまだ写真にとることができなかったから

かわりに女性のわきげをのせていたわけです

つまり、わきげというのは、陰毛のメタファーにあたる役目を

果たしていたわけです

通常であれば、陰毛一個分のセクシーしかない女性にくらべて

ぼーぼー女性たちは、正面陰毛にくわえて

両サイドにも陰毛をたくわえているわけです

つまり、阿修羅のように、どの角度から見てもセクシーだし

もし、タンクトップなどを着て、両腕をあげてわきをさらしたなら

その瞬間、ボーボー女性は単純計算で一般女性の三倍のセクシーさを

実際にはそれぞれの陰毛が他の陰毛を補助しあうことで相乗効果がうまれて

最大で約1250倍セクシーになる、といわれているんですね」


せっ、1250倍っ!!

私は本気をだした加藤奈美子の恐ろしさを思うとぞっとした

普段はTシャツのそでなどで隠されているものの

本当は、加藤奈美子は

生態系をゆがめるほどにセクシーなのだ


「じつはね、加藤さん、あなたのわきげがボーボーだという話をきいて

私ははるばる今日、やってきたわけですよ」


私は加藤じゃないけどね、と思いながら

私はちいさくうなづいた


「世間でボーボーだといわれている人にね

私もこれまでに何度かあってきて

そのたびに、実はことごとくはずれだったわけですよ

わきげっていうのはね、ただはえてくればいいってもんじゃないんです

いかにね、太くてりりしい毛がはえるか

それがすごく大事なポイントなんですよ

うっすい毛なんか、いくらあってもセクシーじゃないですからね

やっぱ、男性ホルモンが分泌してないと、だめなんですよ

それでね、実は今回も、加藤さんにそんなに期待はしてなかったんですよ、わたし

どうせ、薄い毛がいっぱいはえている人だろう、ってね

でも、今日ね、あなたの顔をみて、私、確信しました

あなた、ぶっとい毛がはえてくるお人だ!

みなぎる男性ホルモンが空気をゆらすのが見えますもん」


わっ、私がぁ!?

生まれて初めてわきげが太そうな顔をしている、といわれ

加藤奈美子になりきった死ぬほど傷ついた

「あなたはわきげのためにうまれてきたような女性なんですよ!

どうか、どうか、うちのお店に来てくれませんか」


そういって男が提示してきたぼーぼーキャバクラの時給は

派遣社員としての私の日給にあたる金額だった

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