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だめんずタクマ

A組の松野と D組の中村がつきあっているらしい

体育館の裏で二人がキスをしているのを

見たやつがいるんだそうだ


なんだろ、どこでこんなに差がついたのかな

同じ年月を生きてきて 松野はすでに

テレビでしか見たことがないキスとやらをしていて

かたや俺様は 女子とまともにしゃべったことすらなく

俺の近くに来る女子は皆 腕組みをする始末だ(親友のカズヒロまで、こないだ俺の前で腕組みをしやがったので

その腕を手刀でたたきおとしたところ

「俺が腕組みするのは、おまえの前でだけだよ!」とかいいやがった、ファック!)


そんな俺様でもきっと 大学に行けば

自然と彼女とかできるんじゃないかな、と、すげー思ってる


その根拠は、だめんずウォーカーだ


あの漫画を読んだときの衝撃は、すごいものだった!


世の中には、だめな男しか愛せない女がいるだなんて・・・

そんな、おいどんのために生まれてきたようなオナゴが

本当におわはるとですかっ!!先生っ!!

買い占めたい!パーを全部買い占めたいっ!!



実際、だめんずウォーカーには勇気の鈴がリリンリンなエピソードが満載だ!

こっ、こんなウンコな男でも 女の子とつきあえたうえに

つきあうってことは、エッチして、キスももちろんして、

そのうえ

金をみつがせられるってのかぁ!!


ハゲでデブな男が こんな綺麗な女の人に愛されているなんて・・・

俺は生まれてはじめて、この世界を素敵だな、と思った

(五年後、タクマが生まれて初めての合コンを

なぜかお笑い芸人の卵(全員オンナ)達とやることになり

そのなかの一人がのちにだめんずうぉーかーに出演した際に

まごうことなきブスであった彼女が、漫画のなかではすげー美人として描かれている様を見て

作者がいかに女の子ばかりをかわいく書き

男はありのままに書いているかを知ることになるのだが

それはまた別のお話)


かしこい俺様はとっくに知っている

俺の人生は そんなにたいしたものにはならないだろう、と

少なくとも、仕事をバリバリやって活躍するってのは、ない

俺が知っている物語は、30年間働いた会社が

突然の成果主義でリストラ、自殺とか

働きすぎて過労死とか、そんなんばっかだからだ

俺は 仕事をしたくないと17歳にして思っているし

これからも一生思い続けるであろう確信がある!


だめんずうぉーかーにでてくる男は だいたい仕事をしない

仕事をしない=だめんずへの近道


つまり、俺様はだめんずにもっとも近い男 間違いなしなのだ!

今も、そしてこれからもっ!

俺はなんとか仕事をしないで生きていける方法を探し続けるだろうからっ!

夢をあきらめない力、それを才能と呼ぶのだからっ!



将来の俺は その日、初めて彼女の家に遊びに行った

すると 彼女の家の本棚に

だめんずうぉーかーが全巻もれなくそろっているのを目撃する

彼女は微笑みながら

「私、漫画ってあんまり読まないんだけど、これだけは、大好きなんだよねぇ」

という

そのころの俺は、一応は就職していて、いまだに部屋は片付けられないものの

それなりに 人並みにやっていこうと努力していたところだった

しかし、彼女は俺を


「キターーッ!この人、間違いなくだめんずだわっ!」

という目で選んでいたんだ・・・と将来の俺は推測する


「私の彼氏、マジだめんずでさぁ

まだ打ち明けないけど、きっと借金とかすごいあると思うのよね~

それを思うと、なんだか私、わくわくしてきちゃってぇ」


とガストで友達4人に話す彼女の笑顔が見えて、ヘコむ将来の俺


将来の俺は、未来の誰かの本棚の前で立ち尽くすことだろう

自分と同じ漫画を 彼女も好きだった、ということに

まったく別の意味を見出して・・・


彼女はそんな俺の気配にはまったく気づかず

「コーヒーがいい?それともお茶?紅茶もあるけど」

などと悠長なことを言ってくる

将来の俺は「今の俺の気分にぴったりな 激ニガ~の無糖ブラックコーヒーをたのむぜ!!だんなぁ!」と思いながら

彼女の質問に「コーヒー」と精一杯の強がりで答えるだろう

「コーヒー」という言葉を口にするだけでへとへとになりそうなほど

将来の俺は心の旅で忙しい


そして、将来の俺は考える

ここで彼女に

「・・・俺のこと、だめんずだと思ってるの?」

とたずねるかどうか、を・・・


しかし、そんなことをたずねたところで、

もちろん彼女は


「そんなこと、全然思ってないよぉ。

タクマくんはちゃんとした素敵な人じゃない」

と答えるだろうことはわかりきっている、予定調和みたいな問答だ


しかし、俺はその言葉を鵜呑みにはできない

だったら質問なんか最初からしないほうがいいんじゃ・・・


そこで突然ピンときて 将来の俺は

まったく別の発想を持つ


はっ!もしかして

彼女の前の彼氏は、だめんずだったんじゃないか?



その考えは恐ろしい破壊力で将来の俺の頭を殴りつける


こっ、この女は、

俺の前にだめ男にみつぎまくって

そのうえで 捨てられた女なんだ!

その男のかわりとして 

俺を選んだだけなんだ!



彼女はそんな俺の気持ちにはまったく気づくことなく、なんか、いろいろしてる

よくわかんないけど、台所とかでいろいろしていて、まったく気づいていない

しかし、将来の俺は その考えに立ち尽くす


ちょうど今、出会ってもいない女の子の部屋の本棚に

だめんずうぉーかーがあったら・・・という考えに

いたく傷ついている今の俺と同じように、だ


将来の俺はいろんなことを考え始める


もしかして・・・この女は

俺に殴ってほしい、とか思ってるんじゃなかろうか?



俺のだめさ具合じゃ、前の彼氏には遠くおよばなくて

やっぱ この人じゃあダメねぇ・・・と

物足りなさを感じているんじゃ・・


「もしかして・・・俺のだめさ具合が

ちょっと物足りないの?」



とたずねたら、彼女は


「ううん、タクマくんは全然ダメなんかじゃない!

私、前の彼氏にずいぶんひどい目にあってきたから

今度はちゃんとした人を選ぼうと思ってて

それでタクマくんに選んだんだよ、実はね、前の彼氏との間に赤ちゃんが・・・」


そこから始まる前の彼氏のひどいこと話をききながら

俺は彼女を心のそこからかわいそうだ、と思う


しかし、目の前の棚にはだめんずうぉーかーがぎっしりと並んでいて

それらが

「その女は、そういいながらも

そういうのが好きなんだよ」


と俺に語りかけてくる


俺は彼女の話に完全には同情できなくなってきて

なんか、コーヒーのおかわりをいれてくれている彼女の後ろにまわって

ちょっと軽めにおしりとか叩いてみたりして

彼女に「?」て目で見られる

俺は恥ずかしくなって、なんか、タバコとか吸い出しちゃうんだろう


俺は、将来の俺について考えるだけで

すごく深くきずついた・・・

せっかく彼女ができたのにな、と

できてもいない彼女について、深く落ち込みながら

とぼとぼと堤防を一人、歩いて帰る俺様だった


帰りに、ハンターハンター立ち読みして帰ろう、と思った

theme : ひとりごと
genre : 日記

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