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加藤なみこ その2

「加藤奈美子さんですか?」


会社をでたとたん、初老の男性に話しかけられた

見るからに金を持ってそうな紳士だったので、少し考えたのち


「そうですが、なにか?」


と答える。

加藤奈美子は、うちの営業マンで、わきげがボーボー女だ

そして、私たち派遣社員を完全に下に見ている

加藤奈美子がわきげがボーボーなのも、実は

ヨーロッパ人の彼氏がいるからで、

わきげがボーボーじゃない私たちのことを

「農耕民族の末裔」と影で呼んで、バカにしている、

という噂だった


この、金の匂いのする男、、、あやしい、怪しすぎる

もしかしたら、ここから、なにか加藤奈美子の秘密が聞き出せるかもしれない

私は加藤奈美子になりきる決心をした


「いやぁ、うわさどおり、お美しいかただ

いや、これは失礼。わたしはこういうものです」


そう言って初老の男が渡してきた名刺には


「ボーボークラブ ヘアリー 総支配人 田島ワタル」と書かれていた


「世の中にはね、実にさまざまな嗜好の人がいるわけですよ

カレーが好きな人がいれば、お寿司が好きな人もいる、というようにね

それと同じで、女性の好みについてもずいぶん自由化が進んできた

やせた女の子が好きな人がいれば、太った女の子が好きな人もいる

というようにね

でもね、私は好みっていうのはそれでいいと思っているんですよ

皆が同じタイプの女性を好きになり、同じような顔を美しいと思ってしまうのは

あんなもん、すべてテレビやマスコミにあやつられているだけですからね

人間の好みっていうのは本来、そういうものなんです」


初老の男は、落ち着いた声でゆっくりと

まるで独り言をつぶやいているように、私にそう語りかけた


「だからね、私はそういう、人間本来持っていた美しさへの回帰というものがね

実に必要だな、とこう思うわけなんですよ

そこでね、私はその活動の一環として、作ったわけなんですよ

ぼーぼーキャバクラ」


「ぼーぼーキャバクラ?」と私は思ったけども

口にだしては尋ねなかった

しかし、そんな私の表情を読みとって、男は説明しだした


「いまね、世の中では、マスコミの情報操作によって

女性のわきげはないほうがいいものだ っていうふうにね

そういうことになっていますけれども

確実にね、女性のわきげが好きな男性、っていうのもいるわけですよ

女性のわきから毛がはえてるなんて、なんて興奮するんだろう

そう感じること、これは自然なことなんですよ

本来、動物っていうのは、わきの下からもっとも大量にフェロモンをだし

それをわきげにたくわえる生き物なわけですからね

わきげっていうのはね、古来からセクシーさの象徴であり続けたわけです」


そうか、そうだったんだ。。。だから加藤奈美子は

それを知っていてわきげをはやしてセクシーになっているんだ

もしかしたら、加藤奈美子がこないだの連休

わきげ修行のためにドイツにいってきた、といううわさは

ただのうわさじゃないのかも。。。


わきげにたくわえたフェロモンをまきちらし

外国人をたぶらかしているのね。。。

それにひきかえ私は。。。


私は、セクシーという言葉をきくたびに、胸が痛む

このぺったんこの胸が、私からセクシーという言葉を遠ざけているのだ


「まぁ、そんな原始にまでさかのぼらなくてもですね

たとえば、そう遠くない日本でも、わきげっていうのはセクシーの象徴だったわけです

昭和のポルノ界などでは、女性の陰毛をまだ写真にとることができなかったから

かわりに女性のわきげをのせていたわけです

つまり、わきげというのは、陰毛のメタファーにあたる役目を

果たしていたわけです

通常であれば、陰毛一個分のセクシーしかない女性にくらべて

ぼーぼー女性たちは、正面陰毛にくわえて

両サイドにも陰毛をたくわえているわけです

つまり、阿修羅のように、どの角度から見てもセクシーだし

もし、タンクトップなどを着て、両腕をあげてわきをさらしたなら

その瞬間、ボーボー女性は単純計算で一般女性の三倍のセクシーさを

実際にはそれぞれの陰毛が他の陰毛を補助しあうことで相乗効果がうまれて

最大で約1250倍セクシーになる、といわれているんですね」


せっ、1250倍っ!!

私は本気をだした加藤奈美子の恐ろしさを思うとぞっとした

普段はTシャツのそでなどで隠されているものの

本当は、加藤奈美子は

生態系をゆがめるほどにセクシーなのだ


「じつはね、加藤さん、あなたのわきげがボーボーだという話をきいて

私ははるばる今日、やってきたわけですよ」


私は加藤じゃないけどね、と思いながら

私はちいさくうなづいた


「世間でボーボーだといわれている人にね

私もこれまでに何度かあってきて

そのたびに、実はことごとくはずれだったわけですよ

わきげっていうのはね、ただはえてくればいいってもんじゃないんです

いかにね、太くてりりしい毛がはえるか

それがすごく大事なポイントなんですよ

うっすい毛なんか、いくらあってもセクシーじゃないですからね

やっぱ、男性ホルモンが分泌してないと、だめなんですよ

それでね、実は今回も、加藤さんにそんなに期待はしてなかったんですよ、わたし

どうせ、薄い毛がいっぱいはえている人だろう、ってね

でも、今日ね、あなたの顔をみて、私、確信しました

あなた、ぶっとい毛がはえてくるお人だ!

みなぎる男性ホルモンが空気をゆらすのが見えますもん」


わっ、私がぁ!?

生まれて初めてわきげが太そうな顔をしている、といわれ

加藤奈美子になりきった死ぬほど傷ついた

「あなたはわきげのためにうまれてきたような女性なんですよ!

どうか、どうか、うちのお店に来てくれませんか」


そういって男が提示してきたぼーぼーキャバクラの時給は

派遣社員としての私の日給にあたる金額だった

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