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奴隷の世紀

「21世紀って、奴隷の世紀だと私は思うのよね・・・奴隷、クるわよ」

ひさしぶりに会ってみると、彼女はすっかりと大人びていた。

まぶしいほどに白いシャツに白い歯、あのころのおとなしかった彼女の面影はまるでなく

できる女然とした彼女の姿がそこにあった


「2008、奴隷元年・・・悪くない響きよね」

そう言って彼女はセーラムライトをもみ消した。


ひさしぶりに会った彼女がいうには、私は今、日給30万円で奴隷になれる権利を持っているらしい。

出版社の仕事に疲れ果て、失業保険の支給まで残り三ヶ月だし

しばらくぷらぷらしていようかな、と迷っていた私に彼女は突然電話をかけ「会いたい」といってきた。


彼女に会うのは高校以来、高校の頃も特に親しかったというわけではない。


そんな彼女が説明してくれた奴隷ビジネスの仕組みはこうだ。

私はなんと今なら、日給30万円で奴隷になれる。

しかも、自分はまったくお金を払うことなく、日給30万円という同じ条件で

自分の奴隷を作ることができるそうだ。

さらに、自分が奴隷にした人が誰かを奴隷にした場合、

その奴隷も自分の奴隷として扱うことができるらしい。

さらに自分の奴隷の奴隷が奴隷を作った場合にも、

その奴隷の奴隷の奴隷も自分の奴隷として扱うことができるそうだ。


「奴隷王国、一緒に作らない?今なら私たち、ほぼピラミッドのトップに位置することができるわよ」


と彼女は美しい黒髪をかきあげ微笑んだ。びぃだぁるさぁすぅううん、という擬音が当てはまるほどに、彼女の髪の毛とその姿は美しく、しかもこのビジネスは違法性がまったくないとのこと

もしあなただったら・・・




theme : 頑張れ自分。
genre : 日記

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