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名こそ惜しめ

「おまえはプライドだけはエベレストだな」と職場の皆さんからいつも褒められているふじやまさんに質問です。そんなふじやまさんのプライドの高さを示すエピソードを一つ、たとえ話をふまえながらおきかせください


ふじ「そもそもね、プライドを持たない人間なんてのは


カフェオレになるために生まれてきたミルク

なんだよ。

こうね、混ぜられてね、で、なんかコーヒーをひきたてるためにちょっといれられて

はい、それで、めでたし、みたいな、ね、なんか、そういうの



いいかい?そんなやつぁ




いつまでもミルクじゃいられない!


いつかは混ぜられるか捨てられるだけ・・・



俺は俺でい続けるため





毎晩かかさずミルクを飲んでるのさ




だから





ゲリがとまらねぇ!




乳糖不耐がうらめしいぜ・・・



まぁ、たとえ話はこのぐらいにしといて

本題にはいろうか



あれは俺がまだ学生だったころの話さ


俺は万引きでつかまった





バックルームにつれてかれて こってりしぼられたよ



そこにはパクったばっかの証拠の品がはいったバッグがあるんだ




言い逃れなんかできやいねぇさ



俺は 自分がやったことを認めた






だがけっしてあやまらなかった





気を悪くした店長に






あやまらなかったおかげで警察をよばれた









そこでも俺は黙秘し続けた





警察は俺のあまりにかたくなな態度に






これは裏になにかでかい事件がひそんでいるんじゃないか




と推測し





俺を本格的に取り調べ始めた






が、俺は一言もしゃべらなかった





おかげで








こんなトコにぶちこまれてもうすぐ十年さ





職場っつーか、作業場の皆は言うね





おまえはプライドだけは

ほんとにエベレストだな






ってね





だから俺はここではエベレストって呼ばれてるんだ


そろえてくれていい





そのプライドだけが 俺を十年間ささえてくれたものなんだ


歯車の狂っちまった俺の人生で


唯一残されたものさ






さて そんな俺が取調べ中

たった一言だけしゃべったことがある







それは もう三日三晩眠らずに取調べを受けていた

その三日目の夜のこと






当時は今みてぇに 犯罪者にも人権を



みたいな時代じゃなかったからさ




そりゃあきびしい取調べだったぜ






そんななか 刑事のほうも取り調べに疲れやがってさ

つい ポロリとこうもらしやがったんだ




おまえもよくがんばんなぁ


たかがカフェオレ一個パクったぐらいでよぉ




ってね



俺は 叫んでいた


カフェオレじゃねぇよ、ミルクだよ!



俺のこぶしが やつの四角いあごをくだいた





おかげで公務執行妨害がついて

この歳までここにいる




だがな、俺は一つも後悔しちゃいねぇぜ



男には ゆずれないもんがある




ま、あんたみてぇな穣ちゃんにはわかんねぇかもしんねぇがな




なぜ 俺がいつまでもでれないか わかるか?



それはな 俺がいつまでたっても


反省の色なしだからさ



やつらはそうやって 俺たちからプライドをはぎとり



あちら側の使いやすい人間にしようとしてんのさ


この世界はそうやってできている



あんたの そのクソブランドのサイフだってそうさ



そんなものは 飼いならされた者たちのナウいシャッフル



俺は 自分の足でたっていたいんだ


たとえ 

どんなにおなかが痛くなったってね


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