ハラキリロマン（笑）

いつからだろう・・

人間の顔を　「濃い」とか「薄い」で

表現するようになったのは


僕の顔は　本来ならば　「男前」の部類に入るもののはず

なのに　「顔が濃い」という概念が

この国に蔓延したがために

僕の美しい顔は　正当な評価を得ることがない


「きみの顔って、まるでギリシャ彫刻のようだよね・・ぷぷ」

と　この前言われた


なぜなんだ！


ギリシャ彫刻なんて　


究極の美の象徴みたいなものじゃないか

それが　

その美しさに近づいているという俺の顔が

なぜ　


笑われるんだ・・・


その、顔が濃いとなぜ笑われるのか、ってのをテーマにした

まさに　この謎をテーマにした映画　

ダヴィンチコードがもうすぐ公開される


というウソにひっかかって前売り券も買った


あのうそつきは　いつか　

黄金比でできた密室で謎の死をとげることだろう・・




さらに　別の人からは

「彫りがふっかいねぇ・・・

もしかしてさ　

雨の日とか　

上を向いたら



雨水が顔にたまって　


大変なんじゃないのぉ？」


というひねりのきいたイヤミを言われた



くっそ！彫りが深いことがどうしてマイナスなんだ！！


そんなとき　

僕はいつも夢想する

迫害された民族が宗教という形而上的なもので

救われたように

夢想は　僕への救いだ



皆で　無人島に流れ着く


僕らは何も持たない


スコップも　コップも　ップも　プも　だ


どんなイケメンも　できすぎも

ここではなんの役にも立たず

ただただ「おかぁちゃ～ん　うぇえん、おいおい」

と泣き喚くばかり


ふと　雨が降る


そんな僕らの気持ちにおいうちをかけるような雨・・


しかし　このとき　僕だけがその事実に気づく


雨の重要性　水分の確保の難しさ


なにせ　僕らはスコップもコップも持ってないのだから


僕は

どしゃぶりの雨のなか

かけだした



そして　おもむろに上を向くと


その雨を顔面に貯めた



皆の視線が僕に集中する


そこで僕は　

不敵に微笑み　

言うのさ


「あれぇ？もしかして　皆さん

顔がのぺーーっ！！としすぎて

おこまりですかぁ！？


なにその　百面の者症候群！？

つんつるてんやわー　そんな顔じゃここじゃ生き残っていけんわぁ」


そして　僕は　その島で

神のようにあがめられてくらすのさ・・



ヤツラが　


殺して僕の顔を


容器として使うようになるまでは・・・

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