ハラキリロマン（笑）

「俺、佐藤さんのことが好きなんだ！

どうか　ここは俺に・・・おねがいします！」


「ちょっとまったぁ！

俺の佐藤さん好きさ具合ときたらそれどころではなくて

佐藤さんの名前を毎日１００回ずつ写経してるし

佐藤さんのゴミの内容まで　全部把握してます

僕に・・・おねがいします！」



「ちょっと待った！

おいどんの佐藤どんへの好いとう気持ちときたら

さつまいもで言ったらこ～んくらいたい！

おっぱい三個分くらいすき！！

火山灰が降り注ぐ肥沃な大地で

リアス式海岸を散歩したい・・雨が降りそうな日に


きみといもの苗をうえたい・・・おねがいします」



さぁ・・三人のうち

佐藤さんは誰を選ぶのか！？




「・・・ごめんなさい

わたし、一人なんて選べない

だって、人間って・・・ナンバーワンにならなくてもいい

もともと・・特別なオンリーワンなんだもん」



おぉ、三人同時交際宣言だぁ！

四人、仲良く手をつないで去っていったぞぉ




２００６年、人類はすでに人類への興味をなくしはじめていて

多くの賢きものたちはジョンレノンの想像の世界へと移住

人間に恋をするのは　おろかな一部の若者のみとなった・・


萌える惑星

人々はそれぞれの幻想の中に

進化した脳の限界に挑むほど　高尚な恋をしていた


フィギィアであったり

絵であったり


人間ではないものに恋をする


それが　その形而上的な恋こそが

もっともおしゃれであり

最先端のスタイル



そこについていけないバカな輩ばかりが

人間界にとどまり

下等な恋をし続けた



政府は　人間の人間ばなれに一石を投じようと

「多夫多妻制」を導入


誰とでも　好きなだけ恋愛をしてもいいよ


と　女性の本能にあわせて展開してきた常識を破棄し

男性的な恋愛観も認めていった

しかし　もはやすでに時代は２１世紀

誰も人間には見向きもしなかった






「だって　人間の女って

うんこするんだもん」




人間が人間に絶望するには、じゅうぶんな歴史が

すでに人類には築かれていた