「おい、ハラキリ、ニュースだぜ!
さとみが頼庵関とヤった!」
「えぇっ、会って一日でかっ!?」
「あぁ、あの女は完全にびっちだぜ
頼庵関と家で相撲をしてて
頼庵関のまわしをはずすとアレをしごいたらしい」
俺は思った
この女は、ぜってー横綱巣帝部ともヤってる!あの日だ、巣帝部の家で本場の塩まきを見たいとか言ってた日だ
横綱の華麗に塩をまく姿をみて、子宮のうずかない女がいるはずがねぇ
そもそも、塩まきを見に家に行くのも、相撲をとるために家に呼ぶのも
完全に最初からヤル気満々じゃねーか、コノヤロー!
そんなに力士が好きなのに、相撲を勉強する気がまったくないって
私はボディトークしかしない女よて言ってるみてぇなもんじゃねぇかコノヤロー!
ピッグブリーダーさとみにとっては
二回も会えば、セックスするには十分なのであった
「この力士を、私のピッグにしてみたい」
ピッグブリーダーにとって、質のいいブタへの欲求は
他のなにものにも変えがたいもの
ピッグブリーダーさとみは言った
「質のいいブタを手に入れるためなら、私は身体だって売るわ」
力士は、力士はブタなんかじゃない!!
俺は強く思った、だが何を言っても
ピッグブリーダーの耳には届かないことはわかりきっている
ピッグブリーダーにとって、世界を構成する要素は二つ
「ブタであるか、そうでないか」
それだけ・・・その価値観でいけば
確かに力士は、ハサミやパソコンなどに比べて
ブタであるといわれてもしょうがないだろう
力士は純情だ・・・俺の友達が皆
ブタに成り下がっていくのを、俺は黙って見てるしかないのか・・・
力士、飛び降り自殺相次ぐ!!
その新聞の見出しを見た瞬間、俺のなかに
すごくイヤな予感が走った
そっ、そんな、まさか・・・頼庵関は大丈夫だろうな!?
俺は全速力でさとみハウスの屋上へと走った
いろんな意味で走れメロスだった
頭のなかにはなぜか走れマキバオーが流れる悲しさを感じながら
俺は屋上へたどりついた
「やっ、やめろ、頼庵関っ!」
そこには太った体でなんとか金網をのぼろうとする
頼庵関の姿があった
「いったいどうしたっていうんです!
横綱になる夢はあきらめたんですか!」
「あっ、あきらめてなんかいないどすこい
たっ、ただ牧場主が・・・」
「頼庵関、アンタ、まさか
ただのブタなんじゃないでしょうね?」
「なっ、なにを言っているんだ、さとみ、
おまえ、まさか・・・」
「昔のえらい人は言ったわ
飛べないブタはただのブタ ってね
私は飛べるブタがほしいのよ
頼庵、できるわね?」
「もしかして、最近の飛び降り自殺事件も皆、おまえのしわざなのか、さとみっ!」
「おっ、俺はやるどすこい!」
「やっ、やめろ、やめるんだ、頼庵!」
金網を乗り越え、頼庵は
空へ脂肪の塊を投げ出した
目をつぶる俺・・・しかし頼庵は
脂肪をバルーンのようにさせて
ぷかぷかと宙へ浮いていた
「おまんこびちょ濡れだわ、頼庵」
そうつぶやくさとみの声だけが
俺の耳に遠く響いた