ハラキリロマン（笑）

今日道を歩いていたら、前のほうにおっきなＵＦＯがあって

夏を感じた。

僕はUFOを見るたび、おじいちゃんを思い出す


「ＵＦＯは地球にきたらわずか七日間しか生きられない

だから、あんなに大きな声で鳴くんだよ、たけし

七日間の間に交尾をし、子供をさらって

そして死んでいくんだ・・・だからたけしも

ＵＦＯに負けないように、一生懸命生きなきゃダメだぞ」


そう言ってくれたおじいちゃんも、クモの巣にひっかかって死んだ

わひゃ、巣がとれん、ねばついてとれんぞ、みゃぱー！

そう叫んで窒息死したじいちゃんを、近所の子供が棒でツンツンするのを

僕は遠くからそっと眺めていたんだ


じいちゃん・・・残尿感について熱く語るときの

あの横顔・・・僕はいまでも忘れてないよ


おしっこをしたと思ったら、じつはまだ残ってて

パンツがびちょびちょになる苦しみを

じいちゃんは歌にして　僕にきかせてくれたね


全１４曲入りのアルバム、全曲残尿感がテーマで

にょ～！とシャウトするじいちゃんの姿を新宿ロフトで見たとき

僕はまだ１０歳だったけど

子供ながらにすごいって思ったよ


じいちゃんの過激なパフォーマンスを見ていた観客が

「このノリで、ライブのテーマが残尿感だと・・・

もしかしてこのじじい、ステージ上でしょんべんするんじゃねーだろうな！！」

という観客の期待を見事裏切り、ぴくりとも脱がなかったね

あの日の帰り道に

「あーあ、しょんべんしねーんだもんな、つまんねーの」

と観客が口々に言っていたことを、僕はいまでも覚えているよ


じいちゃんが教えてくれたのは、残尿感と女心だけだったね

「いいか、たけし、絶世の美女は全員

男は私のあそこの毛を剃りたいと思っている

と確信している。確かにそれは真実じゃが

女とはギャップに弱いもの

いえ、私はつゆほどもあなたのあそこの毛を剃りたいなどとは思っておりません、という顔をして

いざとなったら、じょりんじょりん剃るんじゃ！！

「私はあなたの毛を剃りたいなどとは一切思っておりません」

などと一筆書いてもよい

契約書を書いておきながら

いざとなったら、じょりんじょりんじゃぞ！！

三回は剃るんじゃ！おなごの肌がカミソリ負けする快感に

女が「許して、もうダメ」というまで

剃って剃ってそりまくるんじゃ！！


と、ヒートアップするじいちゃんに

そっとお茶をさしだすばあちゃんのほほが赤くなっていたのを

僕は見逃さなかったよ


じいちゃん、今年も夏が終わったよ

道を歩くと、ＵＦＯが裏返って死んでいる


僕もいつか、じいちゃんのような

素敵な大人に、なれるかな・・

theme : 青春
genre : 日記